中村くん新次元へ―――
どもども。
今回は、ギターポップの寵児、中村くんこと中村一義のニューバンド「100s(ひゃくしき)」が昨年発表したアルバムを紹介してみまする。
OZ/100s ★★★★☆
試聴してみる
今回は、ギターポップの寵児、中村くんこと中村一義のニューバンド「100s(ひゃくしき)」が昨年発表したアルバムを紹介してみまする。
OZ/100s ★★★★☆
![]() | OZ 100s (2005/01/13) 東芝EMI この商品の詳細を見る |
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曲目:
01 OZ I ★★
オープニングは、嵐の中からおもむろに聞こえてくる中村の声。
アルバム内の曲のサンプリングかと思いきや、これはこれで歌詞もついてる短い曲。OZⅠゾーンは「現在」の視点で歌ってるそうです。
02 A ★★★★★
記念すべきデビューシングル。
ギターポップだがどちらかと言えばロックンロールに近い曲。
彼らの出会いを象徴するかのように、バンド全体がグルーヴィーにノリノリで演奏してるのが伝わってきます。
03 B.O.K ★★★
Honeycom.wareの両A面シングル。
サビは英語にしか聞こえませんが一応日本語主体だったりします。
「Be OK!!」という言葉通り明るさを前面に出した曲。
04 バーストレイン ★★★★
突き抜けるような疾走感と、それに見合ったような「素晴らしい現在」への賛美を歌った曲。
今日、過去は絵画なんですよ(?)
05 ここが果てなら ★★★
ここでは改めて、今日という一日、「今現在」の大事さを語っています。
実に中村らしいスローで暖かでまとわりつくような曲。
06 なのもとに ★★★☆
現在への前向きな「希望」を感じるOZ Ⅰパートのラストは、締め括りに相応しいアコギ主体のカントリー調の穏やかな曲。
中村の声は、実はこういう静かな伴奏の方が良く合ってる気がします。
07 OZ II ★
100sメンバー曰く、『欝ゾーン』らしいOZⅡゾーン。
そのオープニングは民族楽器の音をバックにしたぼんやりとした曲。
08 (For)Anthem ★★★
ピアノをベースにした落ち着いた荘厳な曲。
09 Sonata ★★
どちらかと言えばアップテンポが、ピークまでは上がりきらない曲。
10 やさしいライオン ★★★☆
Aと両A面のシングル。実にバラードらしいバラード。
サビで一気に高揚する曲。
11 Leek Rag's Leek ★★★★★
イントロから一気に引き込まれる曲。
消え入りそうな声から、私的にこのアルバムでも一番刹那さを感じる曲。
12 Santa's Helper ★★
ダウンビートのインスト。テクノと楽器の調和がやや重い。
次の曲への繋ぎの役目も担っている。
13 Honeycom.ware ★★★★☆
シングル。この曲を100sの中でも最高の曲に挙げる人も多い名曲。
特に光る光る砂~からの盛り上がりは思わず涙を誘います。
14 扉の向こうに ★★★★
鬱パートの最後ということで、曲からも鬱という部屋から抜け出す光を感じます。
特に暗い前半から、サビで一気に光が差す流れは見事です。
15 OZ III ★
全曲の伴奏の流れを受けてアルバムラストの第三幕「OZ Ⅲゾーン」は、「実現させるべき未来」へ向けて歌われているそうです。
16 光は光 ★★★★☆
歌詞が素晴らしい。
偽善ではない、希望に満ちた優しさが溢れてる曲です。
とにかく優しい。
17 いきるもの ★★★★☆
これぞ躍動するギターポップ。ハイテンポでかなりノリのいい曲。
ドライブに良く合いそう。
18 K-ing ★★★☆
静かでゆるーい曲。
サビでの歌詞の韻の踏み方がカッコ良い。
19 またあした ★★★
アルバムの締めも近い、ということで其々の帰る場所への心情をしっとりと歌っています。
しかしラストにしてはちょっと短い。
20 バハハイ ★
またあしたとハルとフユとの繋ぎであり、音を消すことによって一呼吸入れる間を作っている。
21 ハルとフユ ★★★
終幕に相応しい。
寝る前に聴く、という意見を聴きますが、正に子守唄のような静寂を持った一曲です。
歌詞にもある通り、アルバムの最後で中村が「状況が裂いた部屋」と決別しているのも、100sという存在が彼自身の転機であることを語っています。
アルバム紹介:
Ⅰ:100sというバンド
皆さんは「BECK」という漫画をご存知だろうか―――
簡単に言えば、偶然の出会いによってバンドを結成することになった五人のバンドマンが、その五人でしか生み出せない「ケミストリー(化学作用の意)」によって爆発的なライブを巻き起こしたりと音楽業界で奮闘していくストーリーなのだが、
この100sというバンドのエピソードもちょっとBECKに通じるものがある。
出会いは、2001年の”ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001”。
中村一義名義で出演するにあたってバンドを組むことになった6人。
それこそが現在の100sのメンバーだった。
勿論其々が無名に等しいBECKの5人とは異なり、この6人は一人一人が邦楽でも既に名うての実力派揃いだった。
(ちなみに100sのメンバーの個々のプロフィールに関してはこちら)
しかし、このライブの舞台で、バンドとしての稀有な手応えを掴んだ6人は、何とライブの勢いをそのままスタジオに持ち込み即レコーディングを行っちゃうのである。
そうして出来たのが「キャノンボール」なのだが(残念ながらこのアルバムには未収録)、この一曲に留まらず6人は以後もバンド「100s」として正式に活動することとなる。
つまりROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001という出会いが無ければ100sというバンドは存在し得なかった。
音楽においての運命的な出会い、そしてライブにおいて人生を変える程のケミストリー、バンドマジックはBECK以外にもこうしてちゃんと存在するのだ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
Ⅱ:文字通りの「大作」
さて、こうした経緯があって辿り着いたアルバムが本作「OZ」なのですが、1stにして既にベストと言われるだけあって、いやはや文句なしの傑作であります。
何と言っても全21曲というボリューム。
これをアルバムとして長過ぎると感じる方もいるでしょうが、特に捨て曲らしい捨て曲もなく曲の多さに比例して良曲もどっしり詰まっています。
普通一枚のアルバムとして良曲は2~3曲あれば十分当たりのアルバムと言えると思うんですが、
私自身改めてレビューしてみると★★★☆以上の曲が10曲。
実際一枚のアルバムを買うならばかなりオトクと言える内容だと思います。
ちょっと採点が甘いんじゃない?と思われるかもしれませんが、素直にどの曲もそれ相応の輝きを持っているんですよね。
正に質より量、数は力なり。(質の高い曲も勿論あるのですが)
更に一つのアルバム内でも、テーマが異なるパートが三部構成になっているのも見所と言えるでしょう。
テーマと同様に曲調に関しても
ポップが好きならOZ Ⅰ、
バラード好きならOZ Ⅱ、
その中間の明るいミディアムテンポが好きならOZ Ⅲ
と自分の好みに応じて聞き分けることができたりします。
中でも特に鬱ゾーンと言われる「OZ Ⅱパート」は聞き応えも十分です。
そして「A」のようなグルービーな曲、「バーストレイン」や「いきるもの」のようなハイテンションの曲、「Leek Rag's Leek」や「Honeycom.ware」 と言った泣かせるバラード、
一様化せず、メリハリがついてる曲が揃ってることで状況に応じて色んな曲をピックアップして聴くことができるのもこのアルバムの魅力だと思います。
むしろ21曲というアルバムの長さが「長い」と感じる方は毎回最初から最後まで通して聞く必要は全くないと思いますし、適当に曲を選んで聴く聴き方がこのアルバムには合ってる気がします。
Ⅲ:中村一義という存在
普段は歌詞をほとんど気にせずメロディ重視で曲を聞く私ですが、この中村一義という歌手は本当に歌詞を見ないと何を喋っているのか分かりませんw
それは相変わらず英語のようにも聞こえる独特の韻を踏む発音と、持ち前のアニメ声のせいなんですが今回の「OZ」でもそれは顕著に現れています。
で肝心の歌詞はどうなのかと言えば、実際にカラオケ等で歌ってみて流れるテロップで初めてその哲学的な歌詞に驚くんですよね(遅
(しかも余りに高温すぎてほとんど歌えなかったりするのですがw)
特に「Honeycom.ware」や「光は光」の歌詞は
常人にはちょっとこの領域は到達できないんじゃないか?
と思える程の素晴らしいポエムだったりします。
そんな詩の世界をわざわざ聞き取れない発音で歌うということは、『メッセージが伝わりにくいんじゃないか、歌詞の良さを活かしきれてないんじゃないか?』と映るかもしれませんが、それも含めての中村節である訳で、
メロディも楽しめて、
聴き取れない歌詞も後々歌詞カードで楽しめて
一曲で二度美味しい、という見方も出来ると思います。
中村一義のアルバムとしては、今作は自身の代表作「金字塔」には及ばない、というレビューも見ますが、私個人としては「金字塔」より「OZ」の方が好きだったりします。
邦楽の多くが自身の初期~中期の傑作をなかなか超えれない中で、デビューから10年近く経った今も未だに進化し続ける音を作る中村一義、そしてその背骨となる「100s」という新しい形態。
良かったら聴いてみて下さい。きっと損はないと思います。
01 OZ I ★★
オープニングは、嵐の中からおもむろに聞こえてくる中村の声。
アルバム内の曲のサンプリングかと思いきや、これはこれで歌詞もついてる短い曲。OZⅠゾーンは「現在」の視点で歌ってるそうです。
02 A ★★★★★
記念すべきデビューシングル。
ギターポップだがどちらかと言えばロックンロールに近い曲。
彼らの出会いを象徴するかのように、バンド全体がグルーヴィーにノリノリで演奏してるのが伝わってきます。
03 B.O.K ★★★
Honeycom.wareの両A面シングル。
サビは英語にしか聞こえませんが一応日本語主体だったりします。
「Be OK!!」という言葉通り明るさを前面に出した曲。
04 バーストレイン ★★★★
突き抜けるような疾走感と、それに見合ったような「素晴らしい現在」への賛美を歌った曲。
今日、過去は絵画なんですよ(?)
05 ここが果てなら ★★★
ここでは改めて、今日という一日、「今現在」の大事さを語っています。
実に中村らしいスローで暖かでまとわりつくような曲。
06 なのもとに ★★★☆
現在への前向きな「希望」を感じるOZ Ⅰパートのラストは、締め括りに相応しいアコギ主体のカントリー調の穏やかな曲。
中村の声は、実はこういう静かな伴奏の方が良く合ってる気がします。
07 OZ II ★
100sメンバー曰く、『欝ゾーン』らしいOZⅡゾーン。
そのオープニングは民族楽器の音をバックにしたぼんやりとした曲。
08 (For)Anthem ★★★
ピアノをベースにした落ち着いた荘厳な曲。
09 Sonata ★★
どちらかと言えばアップテンポが、ピークまでは上がりきらない曲。
10 やさしいライオン ★★★☆
Aと両A面のシングル。実にバラードらしいバラード。
サビで一気に高揚する曲。
11 Leek Rag's Leek ★★★★★
イントロから一気に引き込まれる曲。
消え入りそうな声から、私的にこのアルバムでも一番刹那さを感じる曲。
12 Santa's Helper ★★
ダウンビートのインスト。テクノと楽器の調和がやや重い。
次の曲への繋ぎの役目も担っている。
13 Honeycom.ware ★★★★☆
シングル。この曲を100sの中でも最高の曲に挙げる人も多い名曲。
特に光る光る砂~からの盛り上がりは思わず涙を誘います。
14 扉の向こうに ★★★★
鬱パートの最後ということで、曲からも鬱という部屋から抜け出す光を感じます。
特に暗い前半から、サビで一気に光が差す流れは見事です。
15 OZ III ★
全曲の伴奏の流れを受けてアルバムラストの第三幕「OZ Ⅲゾーン」は、「実現させるべき未来」へ向けて歌われているそうです。
16 光は光 ★★★★☆
歌詞が素晴らしい。
偽善ではない、希望に満ちた優しさが溢れてる曲です。
とにかく優しい。
17 いきるもの ★★★★☆
これぞ躍動するギターポップ。ハイテンポでかなりノリのいい曲。
ドライブに良く合いそう。
18 K-ing ★★★☆
静かでゆるーい曲。
サビでの歌詞の韻の踏み方がカッコ良い。
19 またあした ★★★
アルバムの締めも近い、ということで其々の帰る場所への心情をしっとりと歌っています。
しかしラストにしてはちょっと短い。
20 バハハイ ★
またあしたとハルとフユとの繋ぎであり、音を消すことによって一呼吸入れる間を作っている。
21 ハルとフユ ★★★
終幕に相応しい。
寝る前に聴く、という意見を聴きますが、正に子守唄のような静寂を持った一曲です。
歌詞にもある通り、アルバムの最後で中村が「状況が裂いた部屋」と決別しているのも、100sという存在が彼自身の転機であることを語っています。
アルバム紹介:
Ⅰ:100sというバンド
皆さんは「BECK」という漫画をご存知だろうか―――
簡単に言えば、偶然の出会いによってバンドを結成することになった五人のバンドマンが、その五人でしか生み出せない「ケミストリー(化学作用の意)」によって爆発的なライブを巻き起こしたりと音楽業界で奮闘していくストーリーなのだが、
この100sというバンドのエピソードもちょっとBECKに通じるものがある。
出会いは、2001年の”ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001”。
中村一義名義で出演するにあたってバンドを組むことになった6人。
それこそが現在の100sのメンバーだった。
勿論其々が無名に等しいBECKの5人とは異なり、この6人は一人一人が邦楽でも既に名うての実力派揃いだった。
(ちなみに100sのメンバーの個々のプロフィールに関してはこちら)
しかし、このライブの舞台で、バンドとしての稀有な手応えを掴んだ6人は、何とライブの勢いをそのままスタジオに持ち込み即レコーディングを行っちゃうのである。
そうして出来たのが「キャノンボール」なのだが(残念ながらこのアルバムには未収録)、この一曲に留まらず6人は以後もバンド「100s」として正式に活動することとなる。
つまりROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001という出会いが無ければ100sというバンドは存在し得なかった。
音楽においての運命的な出会い、そしてライブにおいて人生を変える程のケミストリー、バンドマジックはBECK以外にもこうしてちゃんと存在するのだ。
・・・・・・・・・・
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Ⅱ:文字通りの「大作」
さて、こうした経緯があって辿り着いたアルバムが本作「OZ」なのですが、1stにして既にベストと言われるだけあって、いやはや文句なしの傑作であります。
何と言っても全21曲というボリューム。
これをアルバムとして長過ぎると感じる方もいるでしょうが、特に捨て曲らしい捨て曲もなく曲の多さに比例して良曲もどっしり詰まっています。
普通一枚のアルバムとして良曲は2~3曲あれば十分当たりのアルバムと言えると思うんですが、
私自身改めてレビューしてみると★★★☆以上の曲が10曲。
実際一枚のアルバムを買うならばかなりオトクと言える内容だと思います。
ちょっと採点が甘いんじゃない?と思われるかもしれませんが、素直にどの曲もそれ相応の輝きを持っているんですよね。
正に質より量、数は力なり。(質の高い曲も勿論あるのですが)
更に一つのアルバム内でも、テーマが異なるパートが三部構成になっているのも見所と言えるでしょう。
テーマと同様に曲調に関しても
ポップが好きならOZ Ⅰ、
バラード好きならOZ Ⅱ、
その中間の明るいミディアムテンポが好きならOZ Ⅲ
と自分の好みに応じて聞き分けることができたりします。
中でも特に鬱ゾーンと言われる「OZ Ⅱパート」は聞き応えも十分です。
そして「A」のようなグルービーな曲、「バーストレイン」や「いきるもの」のようなハイテンションの曲、「Leek Rag's Leek」や「Honeycom.ware」 と言った泣かせるバラード、
一様化せず、メリハリがついてる曲が揃ってることで状況に応じて色んな曲をピックアップして聴くことができるのもこのアルバムの魅力だと思います。
むしろ21曲というアルバムの長さが「長い」と感じる方は毎回最初から最後まで通して聞く必要は全くないと思いますし、適当に曲を選んで聴く聴き方がこのアルバムには合ってる気がします。
Ⅲ:中村一義という存在
普段は歌詞をほとんど気にせずメロディ重視で曲を聞く私ですが、この中村一義という歌手は本当に歌詞を見ないと何を喋っているのか分かりませんw
それは相変わらず英語のようにも聞こえる独特の韻を踏む発音と、持ち前のアニメ声のせいなんですが今回の「OZ」でもそれは顕著に現れています。
で肝心の歌詞はどうなのかと言えば、実際にカラオケ等で歌ってみて流れるテロップで初めてその哲学的な歌詞に驚くんですよね(遅
(しかも余りに高温すぎてほとんど歌えなかったりするのですがw)
特に「Honeycom.ware」や「光は光」の歌詞は
常人にはちょっとこの領域は到達できないんじゃないか?
と思える程の素晴らしいポエムだったりします。
そんな詩の世界をわざわざ聞き取れない発音で歌うということは、『メッセージが伝わりにくいんじゃないか、歌詞の良さを活かしきれてないんじゃないか?』と映るかもしれませんが、それも含めての中村節である訳で、
メロディも楽しめて、
聴き取れない歌詞も後々歌詞カードで楽しめて
一曲で二度美味しい、という見方も出来ると思います。
中村一義のアルバムとしては、今作は自身の代表作「金字塔」には及ばない、というレビューも見ますが、私個人としては「金字塔」より「OZ」の方が好きだったりします。
邦楽の多くが自身の初期~中期の傑作をなかなか超えれない中で、デビューから10年近く経った今も未だに進化し続ける音を作る中村一義、そしてその背骨となる「100s」という新しい形態。
良かったら聴いてみて下さい。きっと損はないと思います。
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