ベルベットの空
(修正:サリさんは特にフォント色を変えておられなかったようなのに名前引用したことをお詫びしますm(__)m)
black coffeeさんの日記を見ててたまには私も文字色を変えて投稿してようと思い立ちました。えぇ、元来流されやすいんですよorz
私は毎週買ってる訳ではないのですがたまたま先週は週刊マガジンを購入しました。
すると、「サイコメトラーEIJI」や「クニミツの政」で人気を博した朝基まさしさんのIWGPが短期集中連載で始まっていました。読んでみると、いや~朝基先生のワルやサスペンスを描く独特の画風がこの作品の雰囲気にピッタリハマってましたね。元々私も好きな作品なので短期とはいえ来週号の楽しみの一つになりました。
ということでいきなりですが、勢いで(今更感アリアリですが)IWGPレビューをやっちゃおうと思います。
あ、ちなみにドラマの方です^^;
IWGP(池袋ウェストゲートパーク)★★★★★
(★は満点で5 ☆は★の1/2の評価)

TBS系 2000年4月~6月 全10回 放映
2003年3月 スペシャルドラマ 「スープの回」放映
原作:石田衣良
脚本:宮藤官九郎
演出:堤幸彦 伊佐野英樹、金子文紀
キャスト:
長瀬智也、加藤あい、窪塚洋介、山下智久、渡辺謙、妻夫木聡、矢沢心、森下愛子、きたろう、阿部サダヲ、池津祥子、坂口憲二、佐藤隆太、渡辺哲、前原一輝、小雪、西島千博、高橋一生、川崎麻世、酒井若菜、須藤公一他
あらすじ:
池袋で遊ぶ真島誠(長瀬智也)やタカシ(窪塚洋介)、彼が率いるGボーイズ、ヒカル(加藤あい)といった少年少女たち。日々を楽しんでいた彼らの行動範囲にニュースをにぎわしていた「ストラングラー事件」がからんでくることで物語は動き始める。
(以上Amazonレビューより抜粋。)
レビュー:
とにかく面白い。
評価満点なんて頻繁に付けるもんじゃないかもしれませんが文句ナシの満点。
当時も大反響を巻き起こしたこのドラマ。
ではその魅力とは一体何だったのでしょうか?
今回は私なりの分析を兼ねた意見を述べたいと思います。
①原作 石田衣良
今や直木賞受賞で一躍有名作家になった石田衣良の原作をドラマにする。
やはりこれが従来のドラマとは一線を画した世界を打ち出すことに繋がったと思います。脚本家の発想だけでは到底届かないような斬新な世界観がそこにありました。
石田衣良自体フリーのコピーライターであるという経歴が、若者を捕らえる奇抜な作品を生むことにも繋がったかもしれません。
②キャスティング
近年はトレンディードラマというと恋愛モノが主流であり、サスペンスや推理モノは「火曜サスペンス劇場」などどちらかと言えば若者向けではないジャンルとして位置付けされていたと思います。
しかし「古畑任三郎」の存在がトレンディー路線に大きな波紋を投げ掛けます。人気俳優を毎回犯人に仕立てることで若者にも受ける新しいサスペンスの形を見出します。
そう、つまりはトレンディードラマは内容以上にキャスティングに依存する度合いが大きく、魅力的なキャストを起用すればサスペンスでも十分支持を得ることができ、尚且つ恋愛路線にちょっと飽きた視聴者には新鮮に映ります。
で、このIWGPです。
長瀬智也、加藤あい、窪塚洋介、山下智久、渡辺謙、妻夫木聡、坂口憲二、佐藤隆太、小雪と言った今ではちょっと考えられないような全員主役、準主役級の豪華な顔ぶれ。
このドラマ以後に各自がそれぞれ昨今の人気俳優の位置に上り詰めたのもありますが、成る程、人気を集めただけはある才能たちが一同に会した作品でもありました。
正にキャストに目が行きがちの若者にとってもお釣りがくるくらいの豪華なキャスティングと言えるでしょう。尚且つそれは当時より、この俳優陣が顔が売れてる現在だからこそ再放送やビデオで見直すと違った味が出てくると思います。
特に渡辺謙さんがラストサムライで世界的にブレイクするなんてこの当時は思いも寄らなかったですね・・wいやーホントごっつい面子ですよ。
そして今から世に羽ばたこうとする若い層で作られたキャストだからこそ、サスペンスのお決まりの刑事物ではなく、一介の不良であるマコトが事件を解決していくという「若く新しい」サスペンスの形態を取ることができ、尚且つ「ヤンキー」ではなく「チーマー」であるGボーイズが時代を象徴しており視聴者にも古臭くなく現代風に映ったと思います。古畑や今泉のような刑事役はむしろサブの位置に置かれています。
同じくトレンディー路線の推理サスペンスとして、金田一と決定的に違う点は話の中心に「不良」そして「街」を取り入れたことが大きかったと思います。
③脚本 宮藤官九郎×演出 堤幸彦
「GO」「ピンポン」などで「クドカン」の名で知られる人気脚本家宮藤官九郎。
そして「ケイゾク」「TRICK」で知られる演出堤幸彦。
この二人の鬼才が織り成すハイテンポで一気に飲み込まれるシナリオ、そして構成こそIWGPの醍醐味と言えるでしょう。
斬新なカメラワーク、リズミカルでユーモアに溢れた台詞一つ一つがこのドラマが持つ独特の雰囲気を演出しています。
ゆっくり進むと思ったら場面が一瞬で切り替わったり、カメラアップの使い方までドラマとは違った視点で、まるでアートを見ている感覚すら起こさせます。
ただ、クドカンはこれ以後も木更津キャッツアイ、タイガー&ドラゴンなどでこのIWGPのキャストを起用したりと似たような作風の作品を打ち出しますが、やはりこの作品には今一歩及ばなかったと感じました。
それは演出堤幸彦とのコラボレーションの力が大きかったからであり、何より石田衣良の原作なくしてはこの作品のような閃きは二度と起こらなかったからでしょう。
稀代の三人の才能が結集したからこそ、この作品が「傑作」と言われる所以になったと思います。
④マコトとタカシ
マコト役:長瀬智也
キングことタカシ役:窪塚洋介
物語の中でも一際のカリスマを放ち、話の中核を担うと言っていい二人の男。
マコトは嫌々ながらも面倒ごとに顔を突っ込む正義の味方的役柄で、喧嘩も滅法強い生粋の不良。
タカシに至っては池袋最大級のギャング(チーマー)をまとめるボス。
それまでの長瀬と窪塚は不良と言うよりもどちらかと言えば性格的に一般にいそうな男性の役しか演じたことがなかったと思います。
しかしこのドラマにおいて二人は役者としても全く新しい一面を演じ一皮も二皮も向けたと感じました。
長瀬の「めんどくせぇ」を口癖とする低くドスの効いたスラングとも取れる不良喋り。
窪塚の半分寝ているような甘ったるく、底抜けに陽気な常人離れの口調。しかしそれ故に言葉の随所に見え隠れする独特の凄み。
全く対極のキャラでありながらもお互いに「今の不良」を演じ、それが主役は普通の学生やサラリーマンの設定が多かったトレンディー路線に風穴を打ち込むことに繋がりました。
そう、主役は有触れたお決まりの青年ではなく、ダーティなイメージの不良という設定そのものが型破りだったのです。
特に二人の絡みは正に一流、「タカシ」「まこちゃん」とそれぞれを呼び合い距離を置きながらも、腐れ縁な故に下ではお互いを大事にし合ってる二人の様子を巧みに演じ切っています。
二人とも喧嘩になれば敵無しって設定がまた格好良いじゃないですかw
個人的にこのコンビはドラマ史上に残る名コンビだったと思います。
もう見ることはできないんだろうなぁ・・
以上箇条書きにしていくつか見所を挙げてきましたが、他にも毎回のタイトルを
第1回「いちごの回」
第2回「ニンジンの回」
第3回「みかんの回」
マコトの家が果物屋であることから、果物や野菜の名前を数となぞらえてみたり、
第7回「洋七の回」
この回では実際に島田洋七をゲストに呼んでみたり、
第10回(最終話)「士(サムライ)の回」
「十」と「士」をかけてみたり(これは第10回の内容にも良く現れている)
他多彩なゲストがちょい役で出てきたりと遊び心が随所に散りばめられています。
音楽担当の一人がをKREVAであるってのも面白いですね。
未見の方でお暇な方や、レンタル屋で最近借りる映画が無いとお困りの方は、騙されたと思ってとりあえず第1話だけでも見てみては如何でしょうか?^^
国内ドラマですが、そのへんのB級映画より全然面白いと太鼓判を押せる一品です(>ヮ<)ノ
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